Activity report

部会調査

2014年08月01日

自民党厚生部会で県外調査をさせていただきました。今回は、長野県下條村の人口増加策、静岡市の猫殺処分減少対策、「丸京園(株)」の障がい者雇用の取り組みについて調査しました。

長野県下條村は「奇跡の村」と呼ばれています。全国の合計特殊出生率1.34に対して、下條村は2003~2006の平均が2.04だったそうです。その後、いくらかの増減はありますが、今でも非常に高い水準を保っています。
そういう下條村も、以前は全国の自治体と同様で、中心産業だった養蚕の衰退とともに人口は減り続け、活力は削がれていきました。
そこで、22年前、「人が増える村」づくりを公約に揚げた現村長である伊藤さんが村長になられ「村民倍増計画」を実行に移されました。
役 場職員の徹底した意識改革と人員削減による行財政改革をし、無謀なインフラ整備には手を出さず、小規模の道路舗装などは住民にしてもらう。さらに、非常に 安い家賃で入れる若者定住促進住宅の建設や入学祝い金、出産祝い金、高校までの医療費無料化など、若者が定住し、安心して出産・子育てできる環境づくりを 手掛けてこられました。でも、こういう政策ができるのも行政のムダをトコトン削ってきた結果なのです。
例えば若者定住促進住宅の建築ですが、最初 の1棟は補助金を活用したそうです。でも、補助金を使うと、入居者は抽選で決めなければいけないとか低所得者を一定数入れなければいけない、家賃はいくら でなければいけないなどの縛りがあり、子供をつくる気がありコミュニティーに参加する若者を入居させたい村の考えに合いません。そこで、2棟目からはカネ はかかるがすべて村の自主財源で建て、村が望む人を選んで入居してもらいました。
また、補助金や地方債、交付税が使える公共下水道も、試算した結果、合併処理浄化槽の方が有利と判断し、現在では95%の普及率となり、法定水質検査の料金も全額補助しているそうです。
結局、下條村の出生率2.04は徹底した行財政改革と役場職員や住民の意識改革によるもので、出生率ということだけの政策ではなく総合的に取り組んできたことの集大成なのではないでしょうか。
自治体消滅の危険性が叫ばれる現在、国も含めて全国の自治体が参考にすべきものはここにあるような気がします。

次に、静岡市動物指導センターが取り組まれている「人と猫が穏やかに暮らす町の実現」についてです。
近年、市街地では、猫を原因とする様々な問題が発生しています。また、処分場には数多くの野良の子猫が持ち込まれ、その多くが殺処分になっています。
そこで、静岡市は、猫による様々な問題や殺処分となる猫を減らし、そしてそれが無くなる日を目指して、市民の協力もいただきながら施策を推進しておられます。
ま ず、野良猫のTNR活動の推進です。TNRとは、①猫を捕獲する(Trap トラップ)②猫に不妊手術をする(Neuter ニューター)③猫を生活していた元の場所に戻す(Return リターン)のことです。野良猫の数を今以 上に増やさず、一代限りの命を全うさせることを目的とします。ボランティアや動物福祉団体等によって不妊手術を行う継続的な活動が行われています。費用の 一部は民間の募金等も活用されているそうです。
次に、地域猫活動の推進です。野良猫問題を地域の環境問題と考え、不妊手術をした猫を地域住民の協力を得て、その地域で飼育管理する活動のことです。町内会等が中心となって進めていきます。地域から野良猫を減らすための唯一の方法だそうです。
堺雅人さん主演の「ひまわりと子犬の7日間」という映画がありました。宮崎の中央動物保護管理所で起きた実話を元に作られた映画だそうです。この映画は犬が対象でしたが、実際は犬よりも猫の方がはるかに多く殺処分されています。
犬や猫との関わりにもしっかりとルールをつくって、お互いが住みやすい街を作っていきたいものです

次は、障がい者雇用をしておられる「京丸園(株)」の取り組みです。
京丸園は、静岡県浜松市で、水耕栽培にてネギやチンゲンサイ、ミツバなどを年間を通じて栽培しておられます。また、アイガモ農法によるコメ作りもしておられます。
社 長の鈴木厚志さんは平成7年に障がい者と出会いました。支援学校の先生が雇ってほしいと一人の障がい者を紹介されました。鈴木さんも最初は障がい者にはで きないと考えており、試しに姫ねぎの苗が植え付けられたスポンジ状のベッドを所定の場所にはめ込む作業をさせてみました。そうしたらやっぱりうまくできま せんでした。そのことを先生に話したら、数日後、その先生が定規を持ってきて、その定規を使って簡単にはめ込み、「これを使えばあの子でもできますよね」 と言われたそうです。このことを契機に考え方が変わり、指示の仕方や体に合わせた機械の制作により障がい者雇用でもこれまで以上に生産性が向上できるよう な作業の在り方を考えてこられました。
障がい者や高齢者などが参画し、事業として成り立つ農業をデザインすることができれば、産業として農業が活 性化する。また、地域福祉にも貢献することができる。これからの時代は、農業が食料生産プラス障がい者・高齢者の働きの場となり、産業界が福祉を担うこと が主流となるいわばユニバーサル農業を目指すべきと言われます。
農家は、これまで、育苗から収穫まで全て自分でできることを目指してきましたが、 本当はその段階段階を分業化し、その得意分野を効率化し、全体の生産性を上げていく方法もあるのではないでしょうか。また、専門性を必要とする育苗などの 分野は外部委託することもあり得るのではないでしょうか。
京丸園は毎年障がい者の雇用を増やしてこられ、その中で生産額や収益を右肩上がりで増や してこられました。農業は懐の深い産業で、農業分野であれば働くことのできる障がい者も少なくないのではないでしょうか。京丸園の取り組みが全国各地に広 がっていくことを期待したいと考えます。

以上、私たち厚生部会の県外調査の報告でした。お忙しい中対応してくださった皆様方に心から感謝いたします。

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